2019年の目標として“Challenge”を掲げるエミル・サロモンソン選手。「新しい国、初めてのリーグでの挑戦ですし、人生で最高のシーズンにするために努力するという意味をこの言葉に込めました」と語ります。
ストロングポイントを聞くと、「一番はスピード。あとはクロスの精度。攻撃に直接関わるプレーも多いので、オーバーラップなども、どんどんやっていきたいです」と、熱のこもったコメント。
2011年、潰瘍性大腸炎に侵され、大きな手術を経験。「病気をしたことで、朝、目が覚めるたびに、生きていることに感謝と喜びを感じます。だからこそ、今このときに集中して最善を尽くすようにしています」と語ります。そうした体験もあり、できる限りファンへのサービスを惜しみません。「サポーターは大切な存在。声援でエネルギーが湧いてきます」とほほ笑みます。

インタビュー動画

 

日本への移籍が決まったときは大興奮

編集部
(2019年4月28日の誕生日で)30歳になって思うことはありますか。

サロモンソン
30歳になったという実感はまだないですが、年齢ごとに人生を楽しんでいます。

編集部
以前の取材で今年の目標をお聞きしたとき、「Challenge」と色紙に書かれましたね。

サロモンソン
新しい国、初めてのリーグでの挑戦でもあるし、人生で最高のシーズンにするために努力するという意味を込めて、〝Challenge〟と書きました。

編集部
12年間スウェーデンでプレーし、今期初めての海外チームですが、不安はなかったですか。

サロモンソン
Jリーグでは、過去に5、6人しかスウェーデン選手はプレーしていないので、日本へ行くと決めたときは、大きな挑戦をする気持ちでした。以前ワールドカップで、日本代表の試合を見たことがあります。それから日本に興味を持って、YouTubeなどでもチェックしていました。だから日本に来ることは、そんなに心配ではありませんでした。むしろ、移籍が決まったときは大興奮でしたね(笑)。

 

〝喜びのハットトリック〟でみんながハッピー

編集部
エミル選手の一番の持ち味は?

サロモンソン
一番はスピード。あとはクロスの精度ですね。攻撃に直接関わるプレーが多いので、オーバーラップなど、どんどんやっていきたいと思っています。
※オーバーラップとは、ボールを持っていない選手が、ボールを持っている味方の選手を追い越すこと。長い距離を短時間で走るため、スタミナが必要

編集部
昔はFWもされていましたが、シュートとアシスト、どちらが得意ですか。

サロモンソン
自分がアシストして、他の選手がシュートを決めることで、チームもうれしいし、得点を決めた選手もうれしいし、アシストした自分もうれしい。私はそんなシーンを〝喜びのハットトリック〟と言っていて、それが好きですね。

 

深刻な病気、そして手術。生きることへの喜びを感じる毎日

編集部
2011年に潰瘍性大腸炎という病気を発症。2012年に大腸を切除して小腸と直腸をつなぐ手術をされました。下痢やだるさに悩まされていたそうですね。

サロモンソン
スウェーデンに腕の良いドクターがいて、今も薬で体調をコントロールしています。この病気は、食べたものがエネルギーに変えられないので、選手にとっては致命的なのです。

編集部
この病気で、人生観やサッカーへの取り組みが変わりましたか。

サロモンソン
深刻な病気になるまでは何事も当たり前というか、感謝する気持ちが薄れていました。病気をして、何事にも感謝する気持ちが高まりました。ドクターや家族の支えがあって、すごく助かりました。どんな手術をするにしても不安だし、車の運転をしていると事故が起こるかもしれないし、人生は何が起こるか分からないですよね。そう考えると、朝、目が覚めるたびに生きていることに感謝できるし、生きることへの喜びが感じられるようになりました。今、このときに集中して生きるようにしています。

編集部
手術が成功せずに完治しなかったら、という不安はありましたか。そのとき、心の支えは何でしたか。

サロモンソン
8年前のことで、僕も若かったこともあり、手術を受けたときはとても不安でした。病気になったときは悲しくて、誰かにこの気持ちをなかなか話すことができませんでした。手術で治るかもしれないということが分かってからは、気持ちが落ち着きました。あのときは一人暮らしだったので、家族から毎日電話でサポートしてもらい、彼女とは毎日連絡を取り合っていました。僕にとって一番大切な人なので、きちんと言葉で、「愛している」と、感謝の気持ちを伝えるようにしています。だって、いつ何が起こるか分からないですから…。だから感謝の気持ちを言葉で伝えることは、とても大切だと思います。

編集部
ファンサービスが、いつも丁寧で感動しています。

サロモンソン
サンフレッチェ広島にとって一番大切なのは、サポーターの皆さんだと思っています。サポートがいなければ、クラブは成り立たないですから。だから、感謝の気持ちをできるだけ伝えるようにしたいと心掛けています。負けたときや悲しいとき、サポーターたちが「次は頑張って!」と言ってくれるだけでエネルギーが湧いてきます。サポーターの存在は、クラブにとっても僕にとっても、大切な存在です。

5歳からサッカーを始めて、18歳でプロデビュー

編集部
サッカーを始めたのは何歳ですか。きっかけは?

サロモンソン
僕は小さな田舎町で生まれました。サッカーを始めたのは5歳のときです。年上の人たちとサッカーを楽しんでいました。

編集部
プロを意識したのはいつごろですか。

サロモンソン
16歳のころユースのチームから呼ばれました。そのころから「プロ選手になれるのでは?」という思いはありました。そして18歳でプロとしてデビューしました。父からはいつも、「きちんとした仕事に就けないね。サッカーは仕事じゃなくて趣味だよ」なんて、ジョークを言われています(笑)。だからプロになれて本当に良かったです。

 

時間があるときはラジオで、清少納言など日本の歴史についての放送を聞いています

読者からの質問
自分の性格は?

サロモンソン
ハッピー&ジョイフル!  明るく楽しい性格だと思います。写真撮影でも、真面目な顔をするのが苦手で、つい笑ってしまいます。

読者からの質問
験担ぎやルーティーンは?

サロモンソン
シンガード(すね当て)に、家族とフィアンセの名前、婚約した日、そして僕が大切にしている言葉〝リスペクト(尊敬)〟という文字を入れていて、それを見て心を落ち着かせています。これは、友人がオーダーメードで作ってくれたものです。

読者からの質問
インスタグラムで、エミル選手のタグを付けていたら、「いいね」をしてくださいました。自分の名前が入っている写真は、全て見ているのですか。

サロモンソン
いつも投稿してもらい、感謝しています。なかなか見られないこともありますが、皆さんが僕のことを書いてくれているのは、とてもうれしいですね。

読者からの質問
入団セレモニーのとき、日本語で自己紹介されました。一番初めに覚えた日本語は何ですか。

サロモンソン
あのとき、会場の皆さんにきちんと伝わったのかな? 理解してもらえていたらうれしいけど(笑)。日本に来て一番初めに覚えた言葉は、〝こんにちは〟です。〝ありがとう〟は昔から知っていました。「ありがとうございます」と、〝ございます〟を付けると、より丁寧になるというのは日本に来て学びました。

読者からの質問
休日はフィアンセと、どこかへ行かれましたか。広島での生活には慣れましたか。

サロモンソン
広島では宮島、他にはオフのときに京都や大阪へも行きました。もっといろいろな街に行ってみたいですね。時間があるときは、ポッドキャスト(インターネットラジオ)で、清少納言など日本の歴史についての放送を聞いています。「これが日本か!」って驚きます。僕は父ゆずりで、歴史や地理が好きなので、日本に来る前に広島のことも勉強してきました。昨日も広島空港まで車で友人を迎えに行ったぐらい、広島の細い道にも慣れましたよ(笑)。

 

(取材日/2019年4月)