日南と沖縄キャンプでは、1軍のメンバーに名を連ね、期待の大きさがうかがわれた山口翔投手。ついに5月7日の中日戦で、1軍初登板を果たします。
ストロングポイントを聞くと、「伸びのあるストレートをバンバン強気で投げていくところ」と言い、球速155㎞を目指したいと目を輝かせます。
今は中継ぎで実績を積む日々。「いつ出番を告げられてもいいように、しっかり準備しておくよう心掛けています」と言いつつも、“将来は先発で初勝利を”と本音もチラリ。アドゥワ投手のように、2年目のブレークの予感がします。

インタビュー動画

 

マツダスタジアムに来て、初めて1軍を実感

編集部
1軍ベンチの雰囲気には慣れましたか。

山口
だいぶん慣れてきました。「もっと投げたい」という気持ちです。

編集部
1軍に呼ばれたとき、どんな気持ちでしたか。

山口
連絡があったとき、「本当に俺? 現実なのかな」って思ってしまいました。言われた通りに1軍へ行く準備をし、マツダスタジアムに来て、やっと実感が湧きました。

編集部
5月7日の中日戦は1軍初登板でした。ピンチを度胸でかわすピッチングでしたね。

山口
自分の中では、あまりピンチだとは思っていなかったです。いかに自分の一番いい球を投げるかということで精いっぱいでした。2イニング投げたのですが、最後に投げたボールが今までで一番良かったですね。
※5/7の投球内容は、2イング、2奪三振、3被安打、0与四球、1与死球

編集部
それでは、緊張はあまりなかったですか。

山口
いいえ、胸はドキドキするし、足を上げるたびにバランスを崩したりするほど、足が震えていました。「行くぞ」と言われた瞬間に一気に高まって、ドキドキがやばかったですね(笑)。

編集部
5月15日のヤクルト戦では、入団当初から「対戦してみたい選手」と言っていた村上宗隆選手(高卒2年、熊本出身)との対戦がありました。相当気合いが入っていましたね。

山口
まさか、こんなに早く対戦できるとは思っていなかったです。やはり意識していたので、むちゃくちゃギアが上がりました。村上選手はすでに活躍しているので、「負けたくない」という気持ちがありました。
※5/15の投球内容は、1イニング、1奪三振、0被安打、0与四球

編集部
ここまでの3試合は無失点ですが…。

山口
あまり、連続無失点を気にせずに、全力で自分の球を投げていけば、いい結果につながっていくと思っています。今はどれだけ1軍で通用するか、そのために何をやっていくかというだけです。

 

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僕は走り込まないと気が済まないタイプ

編集部
日南キャンプや沖縄キャンプでは、1軍メンバーに名を連ねます。大きな自信になったのでは?

山口
自分の中では〝まだまだ〟という気持ちはありますが、「期待してもらえているのかな」と感じましたし、もっと頑張ろうという思いが強くなりました。まさか沖縄キャンプの初日に、インフルエンザに掛かるとは思ってなくて…(笑)。

編集部
今年と昨年との違いは何でしょうか。

山口
昨年は、入団1年目で分からないことだらけでした。何をすべきか、どのぐらいやればいいのかなど、全く分かりませんでした。今年は2年目なので、慣れてきたということはあるかと思います。昨年は地道に練習を続け、体も少し大きくなりました。フォームも大きく変えました。技術やフォームもだいぶん体に染み付いてきて、自然に体が動くようになりました。「昨年やってきたことは無駄じゃなかった」と思っています。

編集部
入団時から体が大きくなったと思いますが、何㎏増えましたか。

山口
体重は昨年より4㎏ぐらい、いつの間にか増えていました。体力面も付いてきたと思います。僕は、基本的に走り込まないと気が済まないタイプ(笑)。高校のときから、結構走っていました。昨年は、とにかくがむしゃらに、死にそうなぐらいまで走っていました。

編集部
体を大きくする事で苦労したことは?

山口
食事と食事の間に食べるなど、とにかくご飯を食べること。大野寮は食事量が多かったので、とにかく食べていました。寝る前にもお茶漬けとか、夜食をちょっと食べていましたね。高校のとき、プロテインは飲んでいませんでしたが、プロに入ってから周りの人たちのアドバイスで、最近では少しずつ飲んでいます。そうしたことが、体が変わってきた理由かもしれません。


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伸びのあるストレートを155㎞は出したい

編集部
腕の振りや肘の柔らかさは、プロの世界でも屈指のレベルと聞いています。〝俺のここを見てくれ!〟という、ストロングポイントを教えてください。

山口
やはり、伸びのある真っすぐの球をバンバン強気に投げていくところだと思います。変化球で自信があるのはスライダー。変化球は、まだまだ練習中です。若いので、ストレートとスライダーで三振を取りにいく、ハツラツとした投球を見せていきたいです。今年はまだ球速が149kmぐらいしか出ていないので、155kmまでは目指したいです。その日を待っていてくださいね(笑)。

編集部
課題点は制球力でしょうか。

山口
昨年は制球力がちょっとひどくて、1試合で8個もフォアボールを出したこともあり、苦しんできました。今期はフォームを変えたこともあって、だいぶんコントロールが付いてきたと思っています。

編集部
中継ぎはいつ出番があるか分からないので、ストレスはたまりませんか。

山口
中﨑投手などは、毎日調整なので〝すごいな〟と思います。ファームでは先発だったので、中継ぎをしたことがありませんでした。最初はなかなかなじめずに苦労しました。

編集部
中継ぎとして毎試合、心掛けていることは?

山口
出番を告げられそうなとき、しっかりストレッチをして準備をしておくことを心掛けています。先日の試合で、準備が足らずにマウンドに上がったら、全然自分の思うようなボールが投げられませんでした。準備は、常に心掛けています。

編集部
将来は、先発で投げてみたいですか。

山口
将来は先発で初勝利を上げたいです。でも今は、中継ぎで実績を残していくことを考えています。

 

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普段から努力をすれば、いつかは絶対に力が付くもの

編集部
小学5年生まで、落合東小学校(安佐北区)に通われていました。小学4年から野球を始めたそうですが、始めたきっかけは?

山口
入団募集のチラシが家のポストに入っていて、父から「よし、行ってみるか」と誘われました。最初は、イヤイヤ始めたような感じでした。安佐大橋付近の練習場まで行くのがきつかったですね(笑)。

編集部
どんな小学生でしたか。

山口
そんなにやんちゃではなかったですよ、多分…。普通に健康で、たまにふざけることもありましたが、やるときはやるという子どもだったと思います。

編集部
熊本工業高校時代に急成長しますが、変わるきっかけがあったのでしょうか。

山口
高校生のとき、野球や生活面をしっかり教えていただきました。あいさつも、走ることも、常に全力でした。変わったきっかけは、コーチとの出会が大きかったです。ずっと僕に付きっきりで、野球を1から教えてくださいました。

編集部
2年生の夏の熊本県大会、秀岳館高校との対戦で、延長10回裏に1死満塁からの押し出しデットボールでサヨナラ負けという悔しい体験をしましたね。

山口
あのときは、「先輩の夏を終わらせてしまった」「自分のせいで負けてしまった」と思いました。日頃からきちんと練習をしておかないと、こういう大切な場面で負けてしまうのだと痛感しました。あの敗戦がきっかけになり、そこから急に成長したと思います。

編集部
高校3年間で、球速が20㎞もアップしたそうですね。

山口
自分でも意識していないうちに、いつの間にかスピードが上がっていました。身体的なこともあるのかもしれませんが、やはりコーチが体の動きをしっかり指導してくださったことが大きいです。後は、とにかく走ったことです。こうしたことが重なって、3年生になってスピードが上がってきました。普段からきちんと努力をすれば、いつかは必ず力が付くんだと、身を持って感じました。

 

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験担ぎは「試合の日は赤いパンツを履く」

読者からの質問
自分って、どんな性格ですか。

山口
〝変わっている〟って周りから言われます。〝とりあえず変な人〟とも言われますね(笑)。自分では、どういうところが変わっているのかは分からないのですが…。

読者からの質問
験担ぎやルーチンは?

読者からの質問
試合の日は赤いパンツを履くこと。勝負パンツですね(笑)。実は、前日も赤いパンツを履いていて、試合の日も赤いパンツ。これは高校のときからずっと続けています。

読者からの質問
自分を奮い立たせる言葉や曲はありますか。

山口
同級生が活躍するのを想像して、「自分も負けてたまるか!」と、気持ちを奮い立たせています。音楽では、クイーンの「We are the champions」で気分を上げています。父が好きな曲で、野球場へ行くときは車の中でよくこの曲を流していました。この前のクイーンの映画も、2回鑑賞しました。あれは最高でしたね。感動して泣いてしまいました。

読者からの質問
〝くまモン〟のキーホルダーを持って入寮しましたが、その後〝くまモングッズ〟は増えましたか。

山口
だいぶ増えました。ファンからよくいただくんです。ありがたいです。もっと増やしたいですね(笑)。

読者からの質問
ファン感謝デーでは、大先輩の永川選手のものまねを披露されましたが、度胸がありますね。

山口
子どものころからカープファンだったので、小・中学生のころからずっと選手のものまねをやっていました。まさか、ファン感謝デーで披露するとは思っていなかったです。でも〝やれ〟って言われたらやりますよ。むちゃ振りの余興とかも熊本工業高校でやっていたので大丈夫です(笑)。

読者からの質問
今1番、磨きをかけているものまねは誰ですか。

山口
大瀬良選手です。大瀬良選手から「俺のものまねも練習しといてね」って言われたので…。一岡選手からも言われたのですが、実は一岡選手の場合はちょっと難しいんです。まずは大瀬良選手を頑張ります。

読者からの質問
5月12日の母の日、ピンクの特別ユニホームに、どんな感謝の言葉をお母さんへ書いて贈られましたか。

山口
〝いつもありがとう〟って伝えました。〝まだまだ元気でうるさいお母さんでいてね〟って書いて贈りました。

読者からの質問
5月15日は、逆転サヨナラのチャンスで、相当テンションが上がっていましたね。「カープファンがベンチにいるみたい」とファンに人気が出ていますよ。

山口
(ベンチでの姿を写した写真を見て)やばいですね、こんなにはしゃいでいたのですか(笑)。まさかこの瞬間を写真に撮られるとは思っていなかったので…。このときは、「やべぇ、この試合」と思って、ファン目線で応援していました。先輩たちがみんな喜んでいたので、自分もそれを見て、もっと喜んでしまいました(笑)。

読者からの質問
趣味や特技はありますか。

山口
以前は、ロールピアノを弾いていたこともありましたが、ブームは終わりました。最近の趣味は、映画鑑賞です。最近はアベンジャーズを鑑賞しました。

読者からの質問
中学時代、前田健太投手のファンで「マエケン体操」を欠かさなかったそうですね。

山口
最近、マエケン体操はしていません。やったら何か言われるかと思って…(笑)。

読者からの質問
初登板の後、前田健太投手がインスタグラムで〝ナイスピッチ〟とコメントされていましたが見られましたか。

山口
インスタグラムのコメントを確認したら、本当にコメントしてくださっていました。うれしすぎて、その画面のスクリーンショットを取りました。コメントに何か反応しようかとも思ったのですが、機会を逃してしまって…。お会いしたこともないのに、憧れの先輩から声を掛けていただけるなんて、とてもうれしかったです。

読者からの質問
どのような女性がタイプですか。芸能人に例えるなら?

山口
笑顔がはじけていて、優しくて、身長がちょっと高めな人が好きですね。タレントさんでいうなら、川口春奈さんです。

読者からの質問
今年の目標や抱負はありますか。投手成績の中で意識している数字はありますか。

山口
まずは1軍にしがみつくというのを全力でやっていき、優勝に貢献できるように頑張りたいです。先輩のアドゥワ投手が今活躍されているので、少しでも近づけるよう、その道を自分も歩めるように頑張っていきたいです。いずれは先発として、最多投手としてタイトルも取っていければと思っています。これからもご応援よろしくお願いします。

(取材日/2019年5月)