今年も広島にあいつがやってくるー。怖くて、切なくて、どこか温かくて懐かしい「稲川淳二の怪談ナイト」。〝霊和(れいわ)〟の夏、〝怪談爺〟が恐怖と感動を届けます。JMSアステールプラザで、9月16日(月・祝)午後4時30分に〝怪宴〟。
公演に先立ち、広島にキャンペーンで訪れた稲川淳二さんに、怪談の魅力と今回の見どころを聞きました。

元号が変わった今年は、怪談が多くなる!?

一昨年、古希にして四半世紀連続公演を成し遂げ、今年で27年目を迎える「怪談ナイト」。

「怪談っていうのは、人間がいないと成立しない。人間同士が作っているものなんですよね。怖さの裏に、愛や思いやり、優しさがあふれています。だから、怪談を語るのは〝じじぃ〟がいいんです」と稲川さん。独特の語り口と情景描写は、ますます円熟味を増しています。

元号が変わり、初めて戦後生まれの象徴天皇が即位し、時代が変わる今年は、怪談が多くなるのではと稲川さん。

「明治の初めは怪談がすごく多かったんですよ。ポルターガイストのような現象があちこちで起こったり。時代がグルグルと変わった時代。人間て、当たり前だった普段の生活が当たり前ではなくなると、エネルギーを出すんです。そういうときは怪談も多い。ひょっとしたら今年も、そんなことが起こるんじゃないかと思ってるんですよ。みんなが霊を見やすくなるっていうか、体験しやすくなるっていうか。楽しみですね」

 

自分ではない誰かに書かされた物語とは…

心霊探訪で拾い集めた話の破片を一人で工房でまとめていくという稲川さん。工房は海を見下ろす高台にあり、夜になると明かりもなく、シーンとした中で、闇だけが窓から見えるのだとか。その中で一人紡いでいく怪談。しかし、今年は拾い集めた破片をどうしてもまとめられない話があったといいます。

「随分昔、終戦記念日に小さな記事が新聞に載ったんです。特攻を送り出す女学生の話。それがとっても印象に残っていたんです。破片を拾い集めて、今年こそ話をまとめようとしたんですが、1週間たっても全くまとまらない。仕方なく諦めて寝ることにしたら、頭の中でその破片がつながってきたんです。あれ?まとまってる。すぐに書いておかなきゃ忘れてしまうと思って、慌てて起きて書いたら、わずか50分でまとまったんですよ。1週間かけても書けなかったのに。でも、そういうときって次の朝に読んでみると、つまらない話になっているもんなんです。それが違ったんですよ。朝起きて読み返したら、すごいんです。明らかにこれは自分が書いたものじゃない、誰かに書かされたんだなって思いましたよ。うちの工房には幽霊がいますからね(笑)。これはとてもキレイでいい話です。背景に歴史があって、人生があって、思いがある。短い話なんですけど、ジーンとくるんです。まさに魂の話。広島の人だからこそ、きっと胸を熱くして聞いてくれるんじゃないかと思える話です」

歴史にならない歴史、当事者がいなくなってしまったら終わってしまう歴史。そこに隠された人の思いに胸が熱くなりそう。鏡に映った自分とは違う影にゾクッとするような、過ぎ去った時間がよみがえってくるような輪郭のない不思議な感覚が味わえるかも。

 

ハンカチ2枚、パンツ3枚持って来場を

「広島は大好きですよ。磁場がいい。空気もいい。エネルギーをくれるところですね」と稲川さん。今回の公演は「感動するのでハンカチを2枚、怖くてちびっちゃうと思うのでパンツを3枚持ってきてほしいですね」と笑います。今71歳。「一年一年を大事にして、歴史にならない歴史をどんどん残していこうと思っています。まぁ、あと30年しかないんですけど(笑)、頑張っていこうと思っています」

【公演情報】

稲川淳二の怪談ナイト  MYSTERY NIGHT TOUR 2019

[日時]9月16日(月・祝)16:30〝怪宴〟(16:00〝怪場〟)
[会場]JMSアステールプラザ大ホール(中区加古町4-17)
[料金]全席指定5,500円(前売り)※未就学児の入場は不可
[問い合わせ]082(253)1010 TSS事業部(南区)平日10:00~18:00