1990年5月6日生、東京都出身。ルーティーンは、試合前日に妻に髪を切ってもらうこと。
「さっぱりして試合に臨みたいですから」とのこと。最近ハマっているのはノリ入りのみそ汁。休日は川沿いを歩いたり、おしゃれなカフェやパン屋に入ること。「妻がカープの大ファン。僕も野球が好きなので一緒に観戦に行きたいですね」

9番は、身が引き締まる数字

編集部
柏レイソル時代は9番でした。やはり9番に対する思いは強いんですね。
工藤
僕にとって、身が引き締まる番号です。中学生、高校生ぐらいからずっと9番をつけていました。
柏レイソルのユースからトップチームに上がった一年目は36番でしたが、3と6を足すと9ですし、
そのあとは、19番でしたから、何かしら9という数字には縁があります。
そういうことで、今年にかける意気込みと、改めて再出発という意味で、9番を着けました。
編集部
工藤選手は、佐藤寿人選手をリスペクトされているし、サッカースタイルも似ているので、11番が似合うのではと、私は思うのですが…。
工藤
佐藤寿人選手は、サンフレッチェに大きなものを残しました。リスペクトに値する選手だと思います。
11番という背番号は、このチームにたくさんの大きなものを残した選手が着けるべきです。
僕自身、まだまだサンフレッチェ広島に結果を残していないですし、背番号がどうのこうのとは言えない状態です。
僕が結果を残し、サポーターからも認められる選手になれるか、まずはそれが一番です。
編集部
柏時代の工藤選手は、ワンチャンスを生かし、ゴール前のチャンスを気迫でねじ込むというイメージがあります。
改めて、工藤選手のストロングポイントを教えてください。
工藤
ペナルティーエリアの中で、自分の良さを出せるのが、僕のストロングポイントだと思います。
どういうふうにゴールを決めるかを逆算して、他の選手がボールを持ったときに、
僕がなるべくペナルティーエリアの中にいるとか、早めに駆け引きしておくとか、それを意識しています。
編集部
自分の強みを1つと言われたら?
工藤
〝点を取ること〟です。強みというよりは、最終的にチームの中で誰がゴールするんだ、という場面で、
「真っ先に行って、点を取るよね」と言ってもらえるような選手にならなきゃいけないですね。
チームの中で一番ゴールが取れると僕は思っているので、それを証明していきたいです。

海外に移籍して、心が強くなれた

編集部
バンクーバー・ホワイトキャップスのときのことをお聞きします。

アゴの骨を折る大けがをされました。その恐怖心は、今でもありますか。
工藤
相手選手と接触した瞬間に、すぐ意識が飛んだので、「痛い」という感覚がないまま、病院に運ばれました。
手術が終わったときに意識が戻ったので、何が起こったのか分かりませんでした。
その後、改めて映像を見て、「こういうことが起きたんだ」という感じでした。
ファンの方から心配されますが、恐怖心はないですね。もちろんプレーにも影響はないです。
編集部
初めての移籍が、初めての海外ということで、学ぶことも多かったのでは?
工藤
ピッチの中でも外でも、今まで接することのなかった多国籍の選手とのコミュニケーションも含めて、
自分がどういうふうに認められなきゃいけないのか、どういうふうに輪の中に入っていけばいいのか、
自分なりにいろいろと考えました。自分のストロングポイントをどんどん証明していかなくてはいけません。
周りに合わせるというよりは、「自分が!」というぐらいの気迫がなければいけないことなど、鍛えられました。
ハングリー精神の塊みたいな選手がたくさんいたので、そういう中でもまれて、自分は強くなれたと思います。
ただ、チームメイトは、いい選手ばっかりだったので、気持ち的には助けられましたね。

できる限りのことをして、サポーターを喜ばせたい

編集部
サポーターをとても大切にされている姿をよく見ます。握手や声掛けなど、一人一人に丁寧に対応されていますね。
工藤
広島に移籍したとき、広島のサポーターは、僕を温かく迎え入れてくれました。
また、こうして吉田サッカー公園で練習をしているときも、ここまで来て声援していただいています。
そうしたサポーターの姿を見ると、できる限りのことはしてあげたいという気持ちになります。
それを喜んでくださるのなら、僕もうれしいです。
編集部
毎年、バンクーバーで、サッカー教室を行っておられます。今年はインドでも行われたそうですね。
工藤
インドでは、サッカー教室ではなかったのですが、日本からボールをいくつか持っていって、
行った先の空き地とかで遊んでいる子どもたちと一緒に、ボールを蹴ったりしていると、
お互い自然と笑顔になれました。そのうち、たくさんの子どもたちが集まってきて、
そういうところで一緒にボールを蹴れたというのは、また違ったパワーをもらったような気がします。
こうした活動は、知り合いの出版社の方の影響があります。
彼は日本の絵本をインドに普及する活動をしていて、〝絵本で何ができるのか〟と取り組んでいます。
僕はサッカー選手なので、サッカーボールを持っていくと、
どういう影響を子どもたちに与えられるのかを知りたくて、インドへ行ってきました。

どれだけ自分自身を信じられるか

編集部
小さいころはどんな子どもでしたか。
工藤
僕は、男兄弟3人の真ん中です。少しでも兄に近づこうとサッカーも含めて、一生懸命やっていたという記憶はありますね。
編集部
柏レイソルのユース時代、ベンチにも入れない苦しい日々があったそうですね。
工藤
サッカーでの苦しみは、結局サッカーでしか解決できないと思っています。
昨年の厳しい状況でもそうですが、なかなかメンバーに入れないというのは気持ちが落ちます。
ただ、それをピッチの外まで引きずって、家にまで持ち帰って落ち込んでいるということは、
全く意味がないと思っています。落ち込んでいる暇があったら、他の選手よりもひたすら練習するしかないです。
編集部
「自分を信じてやり続けること」 が大切ですね。
工藤
もちろんです。ずっと自分を信じ続けてここまでやってきています。
自分の良さとか、強みをどれだけ自分自身が信じられるか。
それは、プロの世界で生きていくためには大切なこと。そこを見失ってはいけないと思っています。
編集部
ケガを乗り越えてここまでこれたのは、家族の支えもあったかと思いますが…。
工藤
昨年は、試合に出られなかったり、ベンチにも入れなかったことが続きました。
妻は、普段通りに、おいしいご飯を作って、帰ってきた僕を迎えてくれました。
そういう姿を見ていると、やはり妻を喜ばせてあげたい、
自分のゴールで妻を幸せにしてあげたいという気持ちが強くなりましたね。

ルーティーンは、妻に髪の毛を切ってもらうこと

読者からの質問
オフとオンの切り替えをどのようにしてますか。
工藤
オンとオフを切り替えるというよりは、僕の場合はピッチを一歩出れば自然と気持ちが切り替わります。
サッカーのことは、一切家には持ち込まないというのは、自分の中で意識はせずにできていますね。
読者からの質問
サッカー専門誌で、今、工藤選手がはまっていることに「お取り寄せグルメ」とありました。
みんなにオススメしたい「お取り寄せグルメ」を教えてください。
工藤
自由に放し飼いにされている鶏の肉を取り寄せました。妻と調べて、気に入ったものは取り寄せていますね。
旬の野菜とかも、いろいろと取り寄せています。そうやって、妻と話をするのも楽しみの一つです。
読者からの質問
試合の前にやっているルーティーンや験担ぎはありますか。
工藤
試合前日に、妻に髪の毛を切ってもらっています。妻は美容師ではありませんが、
バリカンとハサミで上手に切ってくれます。僕は、髪が伸びるのが早いので、
少しでもさっぱりして試合に挑みたいので、これがルーティーンかもしれないですね。
読者からの質問
広島に来てから、いろいろなところに行かれていますね。県内でお気に入りのスポットはありますか。
工藤
市内を散策して、天気がいい日は川沿いとかを歩いたりしています。
途中、オシャレなカフェとかパン屋とかがあると、ふらっと入っています。
気に入ったら「また来よう」というような、そんな感じですね。これから暖かくなってくるので、散歩することも増えそうです。
読者からの質問
工藤選手は阪神ファンですが、広島に来てからカープも好きになりましたか。
工藤
妻は、カープにどっぷりはまって、大ファンになりました。僕は阪神が好きでしたが、
広島に来て、改めてカープの良さを身近に感じています。子どものころは友達と野球をしていたこともあって、
野球全般が好きです。妻は、今年もできる限りカープの試合を見に行きたいと言っているので、
僕も観戦できる試合があれば、一緒に行きたいと思っています。
読者からの質問
奥さまの手料理で1番好きなものは何ですか。
工藤
最近はまっているのは、ノリのおみそ汁ですね。気に入っている乾燥ノリをみそ汁の中に入れています。
それをよく妻に作ってもらっています。
読者からの質問
工藤選手は、どうしていつもそんなに神対応なのですか。
工藤
意識はしていないのですが、僕自身こういう仕事ができていて、
たくさんのサポーターに支えてもらっていていることに感謝しています。
オンオフ関係なく、街中でも声を掛けてもらったときは、僕でよければできる限り写真でもサインでも応じています。
結構街を歩いていると気付かれるんですよね。そういうときは気軽に声を掛けてください。

 

(取材/2018年4月)